世界一「ロボット大国」の海賊たち 農業を支え、人手不足を救えるか
編集委員・大鹿靖明
【動画】宮崎県延岡市で稲作のロボット化の実験が始まった=大鹿靖明撮影
現場へ! ロボット野郎一代記⑤
社長職をバトンタッチした高本陽一(67)は今、日本の農業の行く末を憂えている。自身の創業したテムザック(京都市)は新たな出資を受け入れて借入金や滞納金を一掃し、ついに株式上場が視野に入る。次第に社長以下で会社を切り盛りできるようになってきた。ならば自身は好きなことをしたい。それが農作業のロボット化である。
先妻が群馬の60アールの水田を相続したものの、数年すると農地を借りて耕作してくれる人がいなくなった。「いったん耕作放棄したら、なかなか水田に戻せない。いまはすっかり木が生い茂っていますよ」と高本。周りは一面の水田なのに農家は高齢者ばかり。近所の親戚は「このへんは皆80歳近い。継ぐ人がいないから一気に耕作放棄地が増えるよ」と嘆いていた。
「そうなると日本中が耕作放棄地だらけになります。それで農作業をロボット化して、人手をかけないで済むようにできないかと思ったんです」と高本は語る。
苗代に種もみをまき、育って…