消費者庁の「待った」に経産省が不快感 異例の協議の末の電力値上げ

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寺田実穂子 小手川太朗
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 大手電力7社が申請している家庭向け規制料金の値上げについて、政府が6月1日からの値上げを認めた。一連の審査過程では、電力会社とともに「電力の安定供給」を掲げる経済産業省と、消費者行政を担う消費者庁がせめぎ合った。

 「電力会社が高コスト体質であって、電力自由化の中でも価格が下がることを避けるために、カルテルなどを行ってきたという疑念がこの間、裏付けられた」

 16日の閣議後会見の冒頭、河野太郎消費者相は成果をこう強調した。

 今回の値上げに「待った」をかけたのが消費者庁だった。値上げを認可する際、経済産業省は消費者庁との協議を経なければならない。値上げを申請した大手電力では、競合する新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題や、互いに顧客獲得を制限するカルテル疑惑などが相次いで発覚。「規制料金の問題にとどまることなく、フルパッケージで議論をし、結論を出さなければならない」「消費者庁、消費者委員会の存在意義が問われる」などと一連の不祥事が電気料金に与えた影響を示すよう求めた。

 経産省と大手電力は、電力の安定供給のため、基本的に協調姿勢を取ってきた歴史がある。消費者庁幹部は「電力業界には長年メスが入ってこなかった」と問題視した。

 これに、経産省は不快感を示…

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