美智子さま、「いつか見たい」と語っていた葵祭観覧 上皇さまと笑顔

日比野容子

 京都三大祭りの一つ「葵祭(あおいまつり)」は16日、「路頭の儀」と呼ばれる華やかな王朝行列が4年ぶりに都大路を練り歩いた。今年は上皇ご夫妻が葵祭を観覧し、祭りの関係者をねぎらった。

 上皇ご夫妻はこの日午前10時半の行列出発に先立って京都御所の建礼門前に到着し、行列の観客らから拍手で迎えられた。

 行列が出発し、先導する騎馬隊の乗尻(のりじり)、昔の警察にあたる検非違使志(けびいしのさかん)ら平安装束の人たちがテント内のご夫妻に一礼して通過すると、お二人とも立ち上がって会釈を返すこともあった。行列の終盤、祭りのヒロインである斎王代を乗せた「腰輿(およよ)」が通りかかると、ご夫妻は笑顔で見送った。

 ご夫妻に同席して案内役を務めたのは、葵祭行列保存会前会長の猪熊兼勝さん(85)と副会長の西尾斉(ひとし)さん(83)だ。猪熊さんは高松塚古墳奈良県明日香村)の保存公開などに尽力した考古学者で、2016年に天皇、皇后両陛下だったご夫妻が高松塚壁画館を見学した時にも案内役を務めた。その際、猪熊さんが当時葵祭行列保存会長でもあると側近が伝えると、美智子さまは「いつか見たいものです」と話していたという。

 猪熊さんの父、兼繁さんは1956年に葵祭の「斎王代行列」をよみがえらせた人物だ。兼繁さんは昭和天皇、香淳皇后が65年に葵祭を観覧した際、やはり案内役を務めた。「親子2代にわたりご説明をさせていただくことができ、大変光栄です」と猪熊さん。西尾さんも「両陛下に『これまでのご苦労が報われましたね』と言っていただき、感謝感激でした」と話した。

 上皇ご夫妻は総勢500人余りの行列を最後まで観覧し、午前11時15分すぎに建礼門前を後にした。招待された京都市内の幼稚園の園児や観客らから「また来てねー!」「さようならー!」「お元気でー!」と声が上がると、何度も手を振って応えていた。(日比野容子)

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    島康彦
    (朝日新聞ネットワーク報道本部次長)
    2023年5月17日9時48分 投稿
    【視点】

    もし、ご身分を隠して1日を過ごせるとしたら、何をなさりたいですか――。2007年、外国訪問前の記者会見で、当時天皇、皇后両陛下として臨んだ上皇ご夫妻。美智子さまはこんなエピソードを披露しました。「都内の美術館で良い展覧会があり、ぜひ見たいと

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