都心のマンションで、管理費の引き上げをめぐって管理会社と住民側の攻防がおきている。過去5年間で管理費などは10%以上あがったとの統計もあり、管理組合が値上げを否決するケースも増えている。物価高、電気代などの高騰が主な原因だが、別の背景もあった。
4月23日の昼下がり、世田谷区内にある50戸の築年数8年のマンションの住民総会が集会所で行われた。
管理委託費の月額2万円の値上げが管理会社によって提案された。
住民1人あたり400円の負担増となる。
「コロナ禍になって業者が清掃に来ない日が増え、エレベーター内が汚れていることもあった。それなのに値上げというのは、どうしてだ」「ゴミ出しだけして掃除をせずに帰る人もいる」「値上げがやむを得ないなら掃除がきちんときているか、チェックシートを作って管理してほしい」。住民の声が相次いだ。
参加した60代の男性住民は「物価高の中、これ以上、毎月の管理費など固定費が上がると年金とわずかなサラリーなのできつい」とこぼす。
管理会社によると、値上げの理由には清掃など管理業務が人手不足となっていることがある。常勤は雇えず、曜日ごとに違う人が派遣されているという。
結局、住民の合意形成ができず、理事会で住民たちから毎月、徴収する管理費は値上げせず、管理会社へ払う不足分は積立金の余剰金でしのぐことにし、問題は先送りすることになった。
不動産コンサルタントのさくら事務所が中央、港、渋谷、新宿、目黒、世田谷、江東区など都心の9区にある三井、三菱、野村、住友、東急など大手ディベロッパーのマンションを調べたところ、2017年から22年までの5年間でマンション管理費と修繕積立金の平均値が10%以上、値上がりしたという。
だが、住民の理解を得るのは難しい。
管理会社が語る人手不足の意外な理由
マンション管理費の値上げを住民組合が否決するケースが相次いでいます。管理会社は物価高と管理人の人手不足と説明しますが、意外な背景がありました。記事後半では管理会社と組合の攻防の解決方法を専門家と考えます。
値上げの否決と継続検討は全体の67%にも
ある大手マンション管理会社…