障害者に立ちはだかる「65歳の壁」 73歳が勝ち取った逆転判決

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藤谷和広 上保晃平
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 障害者が65歳を迎えると、障害福祉より介護保険を優先する原則によって従来のサービスを受けられなくなる――。介護保険の利用で自己負担が生じた障害者の訴訟で、司法の判断が分かれている。争点はサービスの支給を決める市町村の裁量をどこまで認めるか。「65歳の壁」と呼ばれる問題が浮き彫りになっている。

 3月24日、東京高裁101号法廷。裁判長が判決文を読み上げると、傍聴席を埋めた当事者や福祉関係者から大きな拍手が起こった。千葉市に住む原告の天海正克さん(73)も「弁護団と全国の障害者運動の粘り強い行動と団結で勝ち取った判決」と喜んだ。

 天海さんは障害者総合支援法に基づき、月70時間以上の介護サービスを無償で受けていたが、65歳を機に千葉市から支給を打ち切られた。その後、介護保険を申請したが、月1万5千円の自己負担などが生じたことから、市の決定の取り消しなどを求めて提訴した。

 裁判が注目された背景にある「65歳の壁」とは何か。

 介護保険は原則65歳以上を…

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