時代小説の気鋭描く江戸の何でも屋 砂原浩太朗「藩邸差配役日日控」

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野波健祐
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 架空の神山藩を舞台にした時代小説「黛家(まゆずみけ)の兄弟」で昨年の山本周五郎賞を受けた作家、砂原浩太朗さんの新シリーズが開幕した。「藩邸差配役日日控(にちにちひかえ)」(文芸春秋)は、藩邸のもめ事が次々と持ち込まれる役職の日常を描いた全5編の連作短編集。洗練された筆致のなかに、作者の労働観がにじみでている。

 差配役は藩邸における何でも屋で会社の総務にあたる。といえばもっともらしいが、実は架空の役職だ。

 「出版社に勤めていたころ、総務には本当にお世話になって。藩邸にあんな役職があったら、いろんな階層の人々と関わるわけだからドラマは尽きないはず、と前から思っていました」

 主人公は神宮寺藩の江戸藩邸で差配役を務める里村。ある日、桜見物に出かけた10歳の若君・亀千代が行方不明になる。お家の一大事とばかりに捜索に向かおうとする里村だが、家老からは〈むりに見つけずともよいぞ〉との言葉を投げかけられて……。

 差配役には日々、大小様々な…

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