ゲーム動画公開疑いで逮捕 ユーチューバー「違法とわかっていた」

小山歩 根津弥
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 人気ゲームシリーズ「シュタインズ・ゲート」の全容が分かる「ネタバレ」となる動画をユーチューブ上で無断で公開したなどとして、宮城県警は18日、自称ユーチューバーの吉田忍容疑者(52)=名古屋市千種区=を著作権法違反の疑いで逮捕したと発表した。「違法とわかっていて動画を投稿した」と容疑を認めているという。

 南三陸署によると、吉田容疑者は昨年6月15日~7月20日、同シリーズ「シュタインズ・ゲート 比翼恋理のだーりん」のプレー動画や人気アニメ「スパイファミリー」などを著作権者に無断でユーチューブに投稿し、公開した疑いがある。

 吉田容疑者は「うさぎとびチャンネル」というチャンネル名で活動し、ゲームをプレーする様子やアニメにあらすじを説明するナレーションを入れた「ファスト動画」などを投稿。動画の総再生回数は約550万回に達していた。立件対象となった動画はすでに削除されているとみられる。

 ユーチューブなどでは、ゲーム画面を映しながら遊ぶ様子を実況する「ゲーム実況」などが人気を集めている。ただ、ゲームの権利者の許諾なく動画サイトに上げれば、原則として著作権の侵害となる。

 「コンテンツ海外流通促進機構(CODA)」によると、近年ではゲーム会社や各ゲームでガイドラインが定められ、ゲームのプレー動画の投稿を認めている場合も多い。ただ、そうした場合にも特典映像やエンディングは公開しないなど、ゲームの性質によって様々な基準がある。

 容疑対象となった作品は物語性を重視し、体験版やプロモーションムービー以外の公開は認めていない。投稿された動画にはゲームのオープニングからエンディングまでがすべて映っていた。CODAは「ゲームを楽しまなくても内容が分かるように公開してしまう事例などは悪質性が高い」とする。(小山歩、根津弥)

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    西岡研介
    (ノンフィクションライター)
    2023年5月19日11時13分 投稿
    【視点】

    この事件、「ファスト映画」のそれと同様に、著作権法違反事件であるというだけでなく、「動画を見る側」の意識を問うている。  ゲームクリエイターや映画制作者にとって「作品」は、自らの分身、あるいは我が子も同然で、彼ら、彼女らがどれだけの思いと