戦国時代の城跡掘って「宝探し」 ユーチューバーが法律違反?
埼玉県秩父市にある戦国時代の山城跡「熊倉城跡」で、男性たちが「宝探し」と称して土を掘り起こす様子を収めた動画が、ユーチューブに今月投稿された。埋蔵文化財の発掘には、文化財保護法で県教育委員会への届け出が求められているが、県によると事前の連絡はなかったという。
同城跡は、歴史上の価値が高いとして「県選定重要遺跡」になっている。
動画では男性2人が「古銭を探す」などと話し、山道などを歩きながら、金属探知機が反応した複数の場所をシャベルなどで掘り起こす様子が映っている。
県文化資源課は8日に動画の存在を把握。動画内の行為は同法違反の可能性があるとみて、15日に、手続きを経ずに掘削などをすると法令違反の恐れがあるとツイッターで呼びかけた。
その後、動画投稿者側から連絡を受け、意図的に法律に触れるつもりはなかったと説明を受けたという。
投稿者は・・・ 「甘さがあった」
動画を投稿した県内の男性(30)は、朝日新聞の取材に「確認不足だった」と話す。4年ほど前から、全国各地で金属探知機を使い宝探しをする番組を投稿しており、熊倉城跡では今月上旬に撮影したという。
撮影前、地面を掘るにあたり県への手続きが必要かどうかインターネットで調べたが、軽く掘削する程度なら必要ないと判断。掘る範囲も山道やその周囲にとどめたため、法律違反にならないと考えたという。「自分に甘さがあった。今後は掘削しないようにする」と話した。
秩父市教育委員会は17日に、城跡内に「勝手に掘ることは法や条例に違反します」などと記した説明板を初めて設置した。
遺跡の範囲や歴史を伝える案内板は立てていたが、こうした注意を呼びかける説明板はなかったという。市教委は「無断で掘削する人が出ることを想定していなかった」としている。(西田有里、岩堀滋)