過激派組織「イスラム国」(IS)によるテロの被害者遺族らが米大手SNSの責任を求めて訴えていた2件の訴訟で、米最高裁判所は18日、原告の訴えを退けた。IT企業がSNS上の投稿に責任を負わなくていいとする現行ルールへの影響が注目されたが、ルールに関わる判断には踏み込まなかった。
2017年にトルコのイスタンブールで起きたテロで殺害された男性の遺族らが、米ツイッターや米フェイスブック(現メタ)などを相手取って訴えた。ツイッターなどがISの広告を拡散して資金や人員を集める支援をしたとして、愛国者法(反テロ法)に違反するとした。
最高裁は18日、ツイッターなどの行為は「意図的に相当な支援をしたとはいえない」として、訴えの根拠が不十分だとした。
また、15年にパリで起きたテロで殺害された米国人の遺族らは、動画投稿サイト「ユーチューブ」を運営する米グーグルなどを相手取り、同様の訴えを起こした。原告側は、プラットフォーマーの中核といえる、「おすすめ」の投稿を決める人工知能(AI)のアルゴリズム(計算手順)を問題視していた。
最高裁は18日、ツイッターの判決と同様に訴訟を高裁に差し戻した。
今回の判断は、IT大手にと…
- 【視点】
ネット上のコミュニケーションの媒介者(プロバイダ)を免責する通信品位法は1996年に制定された法律です。当時のサービスは、投稿されたメッセージをそのまま掲載し単純な媒介を行うにとどまるか、せいぜい手作業で多少の編集を行う程度のものでした。