「定額働かせ放題」維持方針に感じた絶望 廃止訴える現役教諭の原点
公立学校の教員には、基本給の4%を上乗せ支給するかわり、どんなに働いても残業代を出さない――。そんな内容から、「定額働かせ放題」とも批判される「教員給与特措法(給特法)」。その改正に向けた議論が、文部科学相の諮問機関、中央教育審議会(中教審)で始まる。実名で給特法廃止を訴えてきた岐阜県立羽島北高校教諭の西村祐二さん(44)が議論に求めるものとは。いまの思いを聞いた。
――2016年からツイッターで給特法の問題点を発信し、「廃止がベスト」と主張してきました。
世界史を専門とする教員として、職務の核である歴史の授業を何より大事にしたいという思いがあります。いい授業をするためには当然、それに応じた準備が必要になり、そのための時間を惜しもうとは思いません。
ですが、事務作業や会議、部活指導など他の仕事が多すぎて、その肝心の授業準備がおろそかになってしまう現実があるんです。生徒の悩みを聞き、寄り添う時間も限られています。
給特法は基本給の4%を「教職調整額」として上乗せ支給する代わりに残業代を支払わない制度です。これを廃止し、残業した分だけ残業代が支給されるようになれば、残業が多い学校の管理職は責任を問われます。授業やその準備以外の仕事を減らさざるを得なくなり、より授業に集中し、生徒と向き合えるようになるという期待があります。
記事の後半では、実名を出して訴える活動のきっかけについても語ってもらっています。
「欲しいのはいい授業をするための時間」
――自民党は今月10日、教…
- 【視点】
「教員が足りない」→「給料を上げればOK」という発想が、これを読むといかに乱暴かが分かります。 もちろん給料が上がることはいいことですが、今のいちばんの問題は、先生1人1人が抱える業務が多すぎて長時間労働が常態化してしまっていることです。基
- 【提案】
提出物や成績の管理、保護者対応など、教員一人が担当する児童生徒数が多くなるほど教員の労働時間が長くなることは当然であり、データでも確認されている。 教員の過重労働を軽減すると同時に、個々の児童生徒の特徴や個性に応じたきめ細かい指導を実現す
- 【視点】
公立校の教員だけに、特殊な法律(給特法)が適用されるなかにあって、その対策も公立校教員に特化された特殊なものとならざるをえません。 民間企業はもちろんのこと、私立校にも国立校にも時間外業務に労働基準法が適用されます。働き方改革の闘いは、日
- 【視点】
西村さんの取組みには常々頭の下がる思いです。この記事でもおっしゃっていて、改めて非常に重要なのは、現場がほしいのはお金ではないということ、そして、給特法を見直す目的が「残業の抑制」であるということだと思います。この点が、広く理解されてほしい
- 【視点】
残業代を青天井に加算する(かつて大企業では当然だった)という視点(議論)は少しも無しなのだろうか?若手の独身教員が過剰に残業し金銭的にも報われないことで不人気職に…という現状が少しは好転するのでは?そんなことを決して自分からは言い出せないク