クルミやゴボウ…あえて食感硬めの弁当を開発 かんで高齢者を健康に
安田琢典
咀嚼(そしゃく)する力が衰えがちな高齢者向けに、クルミやゴボウ、硬めに調理した乱切り野菜など、かみ応えたっぷりの食材を使った弁当を長野県松本市のケータリング業者が開発した。その名はずばり「嚙(か)んで長寿弁当」。軟らかさではなく、あえてかみ応えにこだわった弁当には、高齢者の健康を気遣う優しさが込められていた。
弁当を開発したのは、法要料理や弁当、総菜などを製造して宅配する「王滝」。きっかけは2021年、松本歯科大学総合歯科医学研究所の増田裕次教授の依頼だった。
増田教授はその頃、県長寿社会開発センターが主催する「シニア大学」の講師を務めていた。受講生の多くは高齢者で、講座で提供される弁当の製造を同社に要望。高齢者向けだが、軟らかめのものではなく「栄養のバランスが取れていて、しっかりかまないと簡単にはのみ込めないようなおかず」との条件だった。
厳選したおかずと持ち麦をまぜた白米
食べ物をよくかむと唾液(だえき)の分泌が促され、消化や吸収を助ける。唾液が増えると虫歯予防など口内の健康の向上につながり、かむ回数が増えれば脳の活性化にもつながるとされる。かみ応えのある食べ物をよくかむことで、高齢者の健康維持に役立つというわけだ。
「その場だけで終わるのでは…