吉田鋼太郎が演じる悲喜劇 「黒は白く」によぎる武蔵部長の叫び
「基本、楽しいですよ」
口調は淡々としていた。
個性豊かな刑事たちが捜査班として集い、難事件に挑むドラマ「刑事7人」(朝日系、7日から水曜夜9時)。9期目に突入するシリーズの開始当初から吉田鋼太郎さんは、班をまとめる上司、片桐正敏役を務める。
前作までの片桐は、つかみどころがないけれど視野が広くて頼れる上司。しかし今作では一人で秘密を背負い続け、明らかに不穏な空気を漂わせる。
同じキャラの人物像に変化をつける演技は、演者として難しいのでは。
そんな記者の質問に対する返答が「基本、楽しい」だった。「同じキャラを続けるのも難しい。そこを打破できて新鮮だった。例えば、普段使わない表情を使えた」と続けた。
「おっさんずラブ」シリーズや大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(2020年)など、ドラマで好演を続けている。ダンディーで時に鋭く、でもやっぱり、おちゃめ――。そんなイメージがお茶の間に定着しつつある。
シェークスピア作品への挑戦の年月が、下地にある。
10代のとき喜劇「十二夜」を見て感動したのが、役者としての原点という。
18歳から舞台の道に進み、シェークスピアの喜劇や悲劇を演じ続けている。「あまりこういう言葉は使いたくないけど、人間はこういう場合では、こんな表情や感情になる、といった『ストック』のようなものは、シェークスピアへの挑戦を通じてできている気がする」と語る。
心がけていることがある…
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