笠岡信組、逆張り戦略 隣県の福山市に新店舗、他行と差別化図る

松田史朗
[PR]

 笠岡信用組合(岡山県笠岡市)は今年12月、広島県福山市に市内2店舗目となる支店を構える。多くの金融機関が支店の統廃合や人員削減を進めるなか、同信組は支店増設で地域密着型営業を強化し、差別化を図る方針だ。

 同信組は4月1日、「福山南支店開設準備室」を新たに立ち上げ、4人の職員をあてた。4人は12月の支店オープンに向けた新規顧客開拓のため、連日、企業や個人宅回りを続けているという。

 支店予定地は福山市川口町1丁目。2018年に開設した「福山支店」の南西約3キロの場所で、周囲には飲食店や新興住宅地がある。同信組は笠岡市内に本支店が4店あるほか、岡山県倉敷市岡山市内などにも支店を置いており、開業すれば本店を含め17店舗目になる。

 数多くの金融機関が人口減少などを受け、支店網を縮小するなかで、支店を増やす戦略を採る背景には、預金や融資といった本業への強いこだわりと実績の裏付けがある。

 事業承継やM&A(企業の合併や買収)などの支援もするが、預金や融資といった「本業」に注力してきた。「地域のための金融機関」(幹部)という自負からだ。もともと本店所在地における融資や預金のシェアは全国有数。飛び込み営業よりも優良顧客に優良顧客を紹介してもらう営業を重視し、貸し倒れリスクを抑えて、好業績を続けてきた。

 18年開設の福山支店では、当初5年間の融資目標額を「200億円」と設定したが、これを達成。「まだまだ市場を広げられる」(幹部)と新店舗開設に弾みがついた。いまは、県庁所在地の岡山市内に3店舗目の支店開設も視野に入れる。

 石井康義(やすよし)・業務部長は「経費を減らす効率化で業績を上げるのではなく、手間や経費がかかっても地域を足で回り、他行と差別化を図る。昔から変わらぬ、うちの戦略です」と話す。(松田史朗)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(1カ月間無料)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません