広島市で開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)は21日午後、3日間の議論を締めくくる閉会セッションを終えた。今回サミットの最大のテーマはロシアによるウクライナ侵攻で、首脳らは「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を堅持し、「核兵器のない世界」の実現をめざすことを確認した。
議論の成果をまとめた「G7広島首脳コミュニケ(声明)」は、G7首脳による討議が20日に終了したことを受けて同日発表された。声明ではウクライナ侵攻を「可能な限り最も強い言葉で非難」し、「必要とされる限りの我々の揺るぎないウクライナへの支持を再確認する」と明記した。
また、軍事・経済両面で台頭する中国も念頭に、「世界のいかなる場所においても、力または威圧により、平穏に確立された領域の状況を変更しようとするいかなる一方的な試みにも強く反対」すると強調。法の支配に基づく「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を改めて表明した。
声明では核軍縮・不拡散について、「全ての者にとっての安全が損なわれない形で、現実的で、実践的な、責任あるアプローチ」により「核兵器のない世界」の実現をめざすと表明。核不拡散条約(NPT)を「国際的な核不拡散体制の礎石であり、核軍縮及び原子力の平和的利用を追求するための基礎」とした。
来年のG7サミットはイタリアで開かれる予定。
【視点】局面変えたゼレンスキー氏の来日 編集委員・佐藤武嗣
今回のG7サミットを振り返り、佐藤武嗣編集委員が成果と課題を考察します。
ロシアの軍事侵攻は国際法違反の暴挙で、断罪すべきはロシアであることには疑いない。だが、主要7カ国(G7)がこの数年間、結束してロシアに向き合っていれば、ウクライナに侵攻していただろうか。
2017年、イタリア南部のタオルミナで開かれたG7サミットを取材した際に目の当たりにしたのは、G7の亀裂だった。
当時のトランプ米大統領は「米国第一」を振りかざし、自由貿易や気候変動問題で欧州と対立した。その後、同氏は14年のクリミア併合でメンバーから除外したロシアを呼び戻し、「G8」の復活も主張した。当時の安倍政権によるクリミア併合に対する対ロ制裁は緩かった。
自由貿易や人権を掲げ、国際…
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- 【視点】
①G7の結束を確認する②グローバルサウスを引き寄せる③「核なき世界」への道筋を示す--という3つのアジェンダの「答え合わせ」はどうなのか。佐藤編集委員の視点がクリアに解説してくれています。 ①②は国際秩序が揺らぐ中、西側諸国が引き続き
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