ゼレンスキー氏の航路、なぜ「筒抜け」? 評論家が指摘する問題点は

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 ウクライナゼレンスキー大統領が、広島で開かれた主要7カ国首脳会議G7サミット)に参加するため、フランス政府専用機に乗って来日したことが話題になりました。フランス外交筋によると、ゼレンスキー氏がフランスのマクロン大統領にG7に出席するために、直接依頼したといいます。2人はゼレンスキー氏が2019年に大統領に就任する前からの友人で、その信頼関係のおかげでフランス機への搭乗が実現したとのことです。そもそも政府専用機はどのような運用がされているのでしょうか。ゼレンスキー氏が搭乗する機体が、敵対するロシアから標的にされる危険性はなかったのでしょうか。元日本航空(JAL)機長で航空評論家の杉江弘さんに聞きました。

――政府専用機とはそもそもどういう目的で使われる航空機なのですか。

 日本の政府専用機は主に首脳や皇族を乗せるために使われます。日本は、通常の旅客機とは構造が異なり、執務室があるような専用の機体を2機保有しています。操縦するのは自衛隊員です。しかし、国として専用の機体を持っている国は多くありません。

 韓国は大韓航空の、中国は中国国際航空の機体を使っています。今回、ゼレンスキー氏が乗った「エアバスA330」という機体は、民間企業からフランス軍が買い取って運用しているものです。国際線でもよく使われる機種で、普段マクロン氏が外遊する時に使っているものと同じ機体です。

 特徴はかなり長く飛べるということです。今回はゼレンスキー氏が滞在していたサウジアラビア西部のジッダから広島まで、ノンストップで飛びました。懸念があったとすればエンジンが二つしか付いていない機体だということです。

――エンジンが二つだとどんな心配があるのですか。

 民間でも軍用機でもエンジンが二つしか付いてない機体は、一つエンジンが壊れた場合、必ず最寄りの空港に緊急着陸しなければならない決まりがあります。例えばアメリカの政府専用機は四つのエンジンを搭載した機体を使っています。

 また日本の首相が外遊する際には、必ず政府専用機2機で行きます。首相の乗っている機体のエンジンが故障して緊急着陸しても、すぐにもう一つの機体に乗り換えられるような運用になっているのです。

 今回は何のトラブルもなく広島まで飛行できましたが、何かエンジントラブルがあれば足止めになり、G7に参加できない可能性もありました。ですが、今回のゼレンスキー氏の渡航の一番の問題点は、別のところにあったと思います。

――どんなことでしょうか。

 航路が一般の人に筒抜けだっ…

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