「異次元の少子化対策」をめぐり、「こども未来戦略会議」(議長・岸田文雄首相)の4回目の会合が22日、首相官邸で開かれ、最大の焦点となる財源の議論に入った。だが、社会保険料の上乗せで負担増となる労使、有識者らの間で意見は割れている。
「大前提として、消費税を含めた新たな税負担は考えていない」。岸田首相はこの日の会合でも当面についてこう強調。政府側から「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く支え合っていく新たな枠組み」の検討が呼びかけられた。
念頭にあるのは、医療保険などの社会保険料に上乗せして徴収する案だ。首相自ら消費増税を封印する中、現役世代だけでなく高齢者も保険料を納める医療保険料の仕組みを活用すれば、「広く支える」仕組みとして打ち出せると考えた。さらに、いまも児童手当の財源の一部などとして企業が負担する事業主拠出金の増額も政府関係者は「当然、狙っている」と話す。
会議メンバーの意見は異なる。子ども関連の支援団体は「少子化を招いた現実を直視し、高齢者にも応能負担をお願いし、社会全体が連帯して財源を確保しなければ若者たちは将来に夢が描けない」と指摘。一方で企業側は反発し、日本商工会議所の小林健会頭は「これまで実施されてきた公的給付策がどの程度効果があったのかが明らかでないまま、児童手当などの拡大が提案されている。『量』を追求するあまり、単純に予算拡大と負担増が生じるならば、経済界が取り組む投資・賃上げ努力を減殺しかねない」とし、児童手当の所得制限の撤廃も「現段階で多くの国民の理解と納得が得られているとは思われない」と批判した。連合の芳野友子会長も「税や財政の見直しなど、幅広い財源確保策を検討すべきだ」と訴えた。
政府はこの日、子ども関連予…
- 【視点】
社会保険料や税金でさっ引かれる分と、収入と現金給付(児童手当など)を比較すると、子育て世帯を含む現役世代は、現金給付よりもさっ引かれている分の方が多い現状があります。例えば、40-44歳の場合、現金給付が約28万円、社会保険料負担が約72
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