第81期将棋名人戦七番勝負第4局(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛、九州電力、QTnet協力)が21、22の両日、福岡県飯塚市の麻生大浦荘で指され、挑戦者の藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ六冠=が69手で渡辺明名人(39)に勝った。史上最年少での名人獲得と史上2人目の七冠まであと1勝に迫った。渡辺名人の攻めに対する藤井竜王の「受けの強さ」が光る一局となった。
突然の出来事だった。
「投了した! 投了した!」
記者や棋士らが控える検討室は大騒ぎになった。終局時刻は22日午後4時45分。5時からの30分間の休憩に入る直前だった。
対局直後、敗れた渡辺名人は、次局以降にどう臨むかを問われてこう答えた。
「早い時間にすぐダメにしてしまった。もうちょっといい将棋を指さないといけないですね」
渡辺名人は1時間以上、藤井竜王は2時間以上、持ち時間を残して決着した一局。「藤井竜王が短手数で快勝」と総括できる内容だったが、感想戦の後に両者に取材すると、事前の研究では渡辺名人の方が上回っていたことが判明した。
将棋担当の村瀬信也記者は終局後、両対局者に取材しました。すると、本譜とは全く異なる道筋をたどる可能性があったことがわかりました。
後手の渡辺名人が選んだ戦型…
- 【視点】
感想戦の後、渡辺明名人に話を聞いて、名人戦開幕前に聞いた本人の言葉を思い出しました。 「ここ、あと2手ぐらい(AIの手を)見ておけば違ったな、みたいなことがあるんですよ。その2手がわからないから、実戦で1時間とか2時間も考えさせられて、そ