第3回発達障害と告げずに入社、配慮はわがまま? 追い込まれた20代女性
発達障害は「わがまま」? 働く場の合理的配慮
西日本に住む20代女性の夢は、商品開発に携わる仕事をすることだった。
女性は小学生のころ、自閉スペクトラム症(ASD)と診断された。
とくに聴覚過敏がひどかった。窓を開けて部屋にいると、外を歩く人の足音や車の音が頭の中で響き、人混みにいると疲れやすかった。
就活では、商品開発を担当できるメーカーを中心に回った。障害者雇用枠での応募も考えたが、希望の職種に就ける会社は見つからなかった。
大学時代、障害のことが友人に不本意に伝わり、一部の人から距離を取られて傷ついた経験もあった。だから「一般枠」でエントリーし、総合職としてあるメーカーに採用された。
2020年4月に入社し、プランナーとして地方の事業所で働き始めた。
ちょうど新型コロナの感染が拡大中で、換気のために社内で窓を開けることが増えた時期だった。
職場では、ほかの社員の電話の声やコピー機などの音も耳に入ってくる。音が入ってこなくなる環境を作ることができたら、仕事のパフォーマンスが今よりも上がるかもしれない――。
「長く働きたい職場だから、障害の特性があることを知ってもらっておいた方がいい」
女性はそう考え、入社から1カ月たった5月、新入社員と社長との定期面談の場で、発達障害や聴覚過敏のことを打ち明けた。
だが社長からは、思いも寄らぬ反応が返ってきた。
採用面接のときに、発達障害…
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