その美肌、鉱山が支えます あの映画さながらの光景の先は期待の鉱脈
ほのかにあかりがともる坑道に、手押しのトロッコを動かす音が響く。映画「インディ・ジョーンズ」をほうふつとさせる光景に、脳内で思わずおなじみのテーマ曲が流れた。
愛知・奥三河の奥深き東栄町にある粟代(あわしろ)鉱山。手掘りの坑道の先にあるのは、セリサイトの採掘現場だ。絹糸光沢を持ち、「絹雲母」とも呼ばれるセリサイト。現在、日本での採掘はここだけだ。
【撮影ワンポイント】手押しトロッコで運搬する「セリサイト鉱山」
岩盤が崩れないように、丸太などで木枠が組まれた坑道内。映画シーンのような薄暗い坑道の雰囲気を出すためにストロボはあえて使わず、照明の明かりを生かした。カメラの感度を上げて、手ぶれをしないよう気をつけた。坑道の真ん中に立ち、遠近感が際立つワイドレンズを使い、中央に奥行きを持たせた。(溝脇正)
約5メートル四方の鉱床を下へ下へと掘り進めている。現在の深さは坑道から約10メートル。のぞき込むと、ヒノキの木枠で覆われた空間が広がり、足がすくんだ。鉱山を運営する三信(さんしん)鉱工(同町)の三崎順一社長(56)は「熱水が噴き上がってできた垂直の鉱床です」と説明する。
鉱山開発は三崎社長の祖父が手がけた。金を含む鉱脈を狙ったものの、出てきたのはセリサイト。繊維業や造船業の現場で使用されたが、産業自体が下火となって、用途に困った。
そんな折、「粉おしろいに似…