第4回発達障害の人も、私も働きやすい 「マイノリティーが社会を変える」

有料記事

聞き手・鈴木彩子
[PR]

発達障害は「わがまま」? 働く場の合理的配慮

 「わがまま」と捉えられがちな発達障害の人が求める合理的配慮に応えることは、社会を変える突破口になる――。障害のある学生の支援にも長く携わり、「合理的配慮 対話を開く、対話が拓(ひら)く」の共著もある放送大学教授の川島聡さん(障害法)はそう言います。

 ――「合理的配慮」という言葉は、とてもわかりにくいです。

 合理的配慮とは何かというと、「バリアフリー」なんです。

 バリアーとは、社会の側にある障壁です。たとえば、偏見(心のバリアー)や段差(物理的なバリアー)、文字や音声(情報コミュニケーション上のバリアー)、法制度のバリアーなどがあります。こうした社会の側の障壁を取り除こう、ということです。

 ――どうやってバリアーを取り除くのでしょう。

 バリアフリーの方法には二つあって、一つは、個人からの申し出がなくても、あらかじめ環境を整備しておくものです。

 あらかじめ字幕をつけておくとか、お店の入り口を車いすでも通りやすいように変えておく、などが一例です。ユニバーサルデザインなどもそうですね。

 もう一つは、障害者本人から依頼や申し出があった場合にバリアーを取り除く方法で、これが、合理的配慮です。「個々人のために」「個々人の希望に応じて」というところがポイントです。あらかじめ環境整備をしておいても、こぼれ落ちてしまうようなニーズをすくいとるものです。

 ――つまり、発達障害の人が合理的配慮を求めるのは、わがままではない、と。

 発達障害は、環境との関係でいろいろな症状が出ますし、まさに「スペクトラム」(連続していて範囲が広い)ですから、「この場合は、こう」と特定できないこともあるわけです。合理的配慮は、わがままへの対応ではなく、法律がその人の状況に応じて、機会の平等を保障するためのものなのです。

合理的配慮には条件もある

 ――では、どんな配慮でも、求めれば認められるのでしょうか。

 そうではありません。法律で…

この記事は有料記事です。残り2455文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません