【そもそも解説】発達障害の人への合理的配慮の提供、なぜ難しい?
発達障害は「わがまま」? 働く場の合理的配慮
発達障害の人の職場での合理的配慮をめぐり、裁判が相次いでいる。そもそも、障害のある人への合理的配慮とは何か。「発達障害」特有の難しさとは何か。解説する。
Q 合理的配慮とは?
A 2006年に採択された国連の障害者権利条約に盛り込まれた考え方で、英語では「リーズナブル・アコモデーション」という。
障害がある人が社会で生きやすくなるよう、ルールを柔軟に変えるなど平等な機会を確保することで、社会の側にある障壁を取り除くことを言う。条約では、「合理的配慮の否定は差別にあたる」と定められた。
Q たとえばどういうこと?
提供する側にとって過重な負担にならない範囲で、一人ひとりの希望に応じて提供することが合理的配慮だ。目の見えない人の希望に応じて、レストランでメニューを読み上げる、といったケースがこれにあたる。
一方で、多数の利用者のために店にあらかじめスロープや多目的トイレを設置することは環境整備で、合理的配慮にはあたらない。
Q 法律でも定められているの?
A 日本は07年に条約に署名し、14年に批准した。その間に、国内の法律が整えられた。合理的配慮について盛り込まれた障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法が、いずれも16年に施行された。
合理的配慮を「誰が」「誰に」提供するのかは、法律によって少し異なる。
差別解消法では、「誰が」は行政機関や民間の事業者、「誰に」はそのサービスの利用者が対象となる。民間の事業者についてはこれまで、客への合理的配慮の提供は努力義務だったが、24年4月からは法的義務になる。
雇用促進法では「誰が」が雇用主で、「誰に」は従業員になる。就職活動などの場面のほか、働いている人が採用後に合理的配慮を求めた場合も、雇用主は配慮をすることが義務づけられている。
ただし、法律に違反しても刑事罰はない。
Q 合理的配慮を求めることは「わがまま」なの?
A わがままではなく、法律…
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