「汚いのはあなたの手」師の一言に脇雅世さんが学んだ料理人の心構え

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 料理研究家の脇雅世さん(68)は1977年、本場のフランス料理を学ぼうと、渡仏しました。入学したのは、パリの有名な料理学校「ル・コルドン・ブルー」です。

 講義を受け、骨身を惜しまず教える講師の姿勢に驚きました。調理をしながら手法を説明し、質問には根拠を挙げ明快に答える。「質疑の応酬、講師はしゃべり通し。隠し事は一切ありませんでした」。技術は師の姿を見て、盗んで覚えるもの。そんな東洋の常識は吹き飛びました。

 ある日、タマネギのタルトを作ってみせる講義がありました。

 講師は作業台の上に小麦粉を山になるように置きました。中央をくぼませたところに塩と卵を入れ、手で周りの小麦粉を少しずつ崩し混ぜ合わせていきます。練ったバターと同じような硬さになったら、バターを加えて混ぜ、かまぼこ形をした製菓道具「カード」を使い、小麦粉と切るように混ぜ合わせていきます。

 美しく鮮やかな手さばきで、一粒たりとも材料を無駄にしない。プロの所作でした。

 次は学生が作る実習です。卵…

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