「取締役会に虚偽報告」で批判噴出の日本郵便 局長の局舎取得を再開
藤田知也
移転先の郵便局舎を郵便局長に持たせるため、取締役会への虚偽報告が横行していた日本郵便が、局長の局舎取得手続きを再開させたことがわかった。「手続きの理解不足」「意図しないミス」などで不正が起きたとの説明に社内外から批判を浴びるなか、物件の公募をひっそりと始めた。
日本郵便の3支社は北海道と福井、熊本の3局分の移転先について、ホームページ上で公募を行っている。4月末に情報が掲載され、公募期間は6月27日まで。いずれも局長が有力な移転先を押さえたうえで実施しているとみられる。
日本郵便では不当利得を防ぐため、社員が局舎を新規で持つのは原則禁止。地主が同社との取引を拒むなど「真にやむを得ない場合」に限り、取締役会決議や公募もへて例外的に認めている。
だが、取締役会では計103件の虚偽報告が判明し、全国9支社の52人が関与していたと4月26日に公表した。
調査結果では「手続きの理解が希薄」だったため、業務の煩わしさなどから虚偽報告に及んだなどと説明。現場の支社社員や外部の専門家からは「あり得ない」との批判が相次いでいた。
日本郵便は朝日新聞の取材に、「調査は十分だ」と回答。「社内手続きの適正な運用が確認できたので再開した」と説明している。(藤田知也)