長谷川滋利氏、ピッチクロックは大ヒット 「選手のプレーに好影響」
今季から大リーグで導入された「ピッチクロック」。投手は捕手から返球を受けて、15~20秒以内に投球動作に入らないと「ボール」になり、打者は残り8秒となるまでに構えないと「ストライク」をとられてしまいます。米野球記録専門サイト「ベースボール・レファレンス」によると、今季の1試合の平均時間(9回)は2時間36分(4月30日時点)で、昨季の3時間3分から大幅に短くなっています。
開幕から約2カ月。その効果のほどや、どんな影響が出てくるのでしょうか。オリックスやエンゼルス、マリナーズで投手として活躍した長谷川滋利さんに聞きました。
――「ピッチクロック」による影響について、どう見ていますか。
「試合時間を短縮するため、まず第一に、ファンのために導入したルールですが、僕は選手のパフォーマンスを上げるためには良い企画だったと受け止めています。大リーグが色々と取り組んできた中で、久々の大ヒットだと思います」
――選手のパフォーマンスを上げる、とは?
「投手は決められた秒数以内に投げなければならず、戸惑った投手もいます。投げるテンポの遅かった投手は、それを理由にダメになったという発言も聞きました」
「ただ、メンタル面の観点から言えば、テンポのいい方が、余分なことや、いらないことを考えなくなる傾向にあるので、間違いなく、パフォーマンスが良くなると思っています。見た目には分かりにくいと思いますが、これまでよりも、レベルの高い試合が見られるのではないでしょうか」
「たとえば、自転車をこいだり、階段を上ったりする動作は、技術的に難しい体の動きを求められますが、皆さんは簡単にやっていますよね。それと似通った面があって、投手で言えばマウンドに上がった時、打者なら打者席に入った時は、極力、何も考えていない『無』の状態の方がいい。実際、投げたり、打ったりするまでの時間が少ないので、以前より、『無』にしている選手が多いのではないでしょうか」
野球解説者の長谷川滋利さんが、大リーグの様々な事象を語るコラムです。今季導入されたピッチクロックを大ヒットと評価しています。後半部分では、長谷川さんは数あるプロスポーツのなかで大リーグが生き残っていくカギなどについて語っています。
――『無』の状態だと、いろいろと考えなくなり、より再現性を高められる、と。
「プレーするまでの時間が極…

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