少年院に届いた300通の手紙 おかんが最期に伝えたかったこと

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大滝哲彰
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 大阪府門真市の山田秀音(しゅうと)さん(29)は、建設業を営む傍ら、少年院での講話や講演会など、更生支援に取り組んでいる。罪を犯した若者たちを前に、こう切り出す。

 「おれもそっち側にいたんやで」

 自らもかつて、少年院で1年半、過ごした。

 2人姉弟の2番目。幼い頃から人に積極的に話しかける子だった。でも、仲良くなるのはなぜか苦手。小3のとき、休み時間のかくれんぼで、ぬれるのもいとわず校庭の池に入り、折ったほうきの筒で呼吸しながら潜んだ。周囲は驚き、誰も近寄らなくなった。

 ある日、病院で発達障害と診断された。

 おかんは真っすぐ目を見て言った。

 「ええやん、破天荒で。秀音には私ら家族がおるやん」

 ただ、自分では認められなかった。うまくいかない不満のはけ口を探し、中学生になると、万引きを繰り返した。

 「秀音!」。警察署に迎えにきたおかんに、今にもつかみかからんばかりに怒鳴られた。でも、夜には必ず温かいご飯を作ってくれた。

 「どんなに悪さしても、どうせ許してもらえる」。甘く見ていた。

 17歳の冬。保護観察中にバイクを盗み、ついに少年院に送られることになった。家庭裁判所で「少年院送致」の審判が下った自分を、おかんは泣きながら見守っていた。

書きすぎて体を痛めても

 絶望感にさいなまれていた時…

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