依頼者に聞かず「和解の意向なし」と回答は違反 弁護士に賠償命令
意向確認を受けていないのに、裁判所に「和解の意向はない」との書面を出されたのは不当だとして、大阪府内の医療過誤訴訟の原告が、大阪市内の代理人弁護士に慰謝料など20万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。大島真一裁判長は「依頼者との契約義務違反にあたる」と述べ、訴えを退けた一審・大阪地裁判決を変更し、弁護士に10万円の支払いを命じた。
判決によると、この弁護士は2017年~20年、がんの手術後に死亡した女性の遺族が医師と病院を提訴した訴訟の代理人だった。訴訟は一・二審とも敗訴したが、遺族側は「高裁判決前に、病院側と和解をする意向を持っていた。弁護士の行為で精神的苦痛を受けた」などと訴えた。
弁護士側は「書面は、裁判所が当事者のおよその意向を知るためのもの。その後の訴訟の進行を絶対的に拘束するものではない」と反論した。
大島裁判長は「弁護士はあくまで依頼者の代理人。依頼者の意思を尊重することが求められる」として、契約義務違反に当たると認定した。
弁護士側の代理人は朝日新聞の取材に対して「上告しない方針だ」と答えた。(松浦祥子)
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