社長叱責で労災認定、時計の「スウォッチ」日本法人 社員が精神障害

片田貴也
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 スイスの大手時計メーカー、スウォッチグループの日本法人で働く50代の女性社員が精神障害を発症したのは、日本法人の社長による執拗(しつよう)な叱責(しっせき)などが原因だったとして、中央労働基準監督署(東京)から労災認定されていたことがわかった。女性が加入する労働組合「総合サポートユニオン」が25日、記者会見して明らかにした。

 労災認定は昨年11月28日付。それによると、女性は2008年にスウォッチグループジャパンに入社し、広報業務を担当。21年3月に就任した社長から激しい叱責を執拗に受け、8月に人事評価を下げられた。9月には報告の遅延やミスを理由とした業務改善プログラムを受け、適応障害を発症した。

 労組によると、女性は社長から会議や退勤後の電話で「あんたバカじゃないの」「レベルが低い」と何度も罵倒されるなどパワーハラスメントを受けたと主張したが、労基署は「業務指導の範囲内」だとして、「上司とのトラブル」にあたると判断した。

 労組側は同社に対し、パワハラと認めることや再発防止策などを団体交渉を通じて求めている。女性はこの日の会見で「パワハラは身体と心を壊すと同時に、人生を狂わせる許すことができない行為。世界を代表するブランドを多数持つ会社として恥ずべきことで、責任をとってほしい」と話した。

 同社は取材に対し、「労災認定があったことは事実だが、社長の言動について労基署からはパワハラと認定されていない」とコメントした。(片田貴也)

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