自民党と公明党の連立関係が大きくきしんでいる。次期衆院選の東京28区をめぐり、公明が候補擁立を断念する代わりに、東京の自民候補に推薦を出さないという異例の方針を決めた。擁立を認めない自民への「意趣返し」とも言える対応は、自公が相互不信にある状況を示す。選挙協力は、連立関係の基盤だけに、関係修復には時間を要することが予想される。岸田文雄首相の衆院解散・総選挙の判断にも影響を与えそうだ。
「最終的な方針なので、持ち帰ってまた案を出されても、方針を変えることはありません」
公明党の石井啓一幹事長は、国会内での約30分の会談で、自民党の茂木敏充幹事長に通告した。
30日に再び幹事長同士で会談することになったが、石井氏は記者団に「我々はもう協議はないと思っているが、茂木氏が話をしたいと言っている」と強調し、強気の姿勢を崩さなかった。
衆院小選挙区の「10増10減」にからみ、公明は選挙区が増える東京、埼玉、千葉、愛知の選挙区で新たな擁立を求め、すでに埼玉14区、愛知16区で自民に先んじる形で公認を発表した。自公連立の基盤である「選挙協力」の解消に踏み込む対応は、「政権離脱も意味する」(自民幹部)という捨て身の戦略だ。
この背景には、党存亡の危機感がある。
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