京都御所の南側、古美術からお茶やパンまで新旧の店の並ぶ寺町通りに、シェアキッチン運営・1級建築士の坂本由加子さんがコワーキングスペース「CIGOTOnoBA(仕事の場)」を開いて4年が過ぎた。開放的なカフェ空間は1日単位で利用できるシェアキッチンにもなり、日替わりのオーナーが店に立つ。
焼き菓子、発酵食、南インド料理などメニューはそれぞれ思いがこもって個性的。手作り雑貨や学生のアート作品が並ぶ日もある。京都に活動拠点を持ちたいと、遠方から来るオーナーもいる。「集まる人が元気になって、経営の目を持つプロが育つ。みんなのチャレンジを応援する学校でありたいと考えています」
建築設計事務所を主宰し、住宅のほかさまざまな店舗を手がけてきた。飲食店では、物件探しからインテリアの小物選びまで依頼主に伴走する。ただし一緒にご近所へのあいさつを終え、手を放した開店の日から、オーナーはひとりで慣れない経営に直面していた。飲食業は2年で残るのが半分といわれる世界だ。「店が街に根づくまで続いてほしい。事前に店舗経営を経験し、練習できる場所が必要でした」
自身の仕事机は、カフェの客…