めざせ、甲子園! そして大学合格――。夏に向けて、高校野球もいよいよ本格化する。夢舞台を目指す一方で、高校球児たちの多くは、引退後に大学受験を控えている。「文武両道」を掲げる高校球児は、どんな生活を送っているのか。
(変わる進学)(野田枝里子)
「野球では夏のメンバーに入ることと、勉強では志望校合格が今年の目標。どっちもかなえたい」
国学院久我山高校(東京都杉並区)3年の霜鳥(しもとり)天羅(そら)さんは、そう言い切った。数分前まで打撃練習を行っていたユニホーム姿の17歳は、中高一貫の私立中学から一般受験で入学。中学時代も野球漬けだったが、「勉強がしたくて」と文武両道を掲げる同高へ進学した。
スポーツクラスの生徒が多い野球部の中でも、数少ない一般の理系クラスに在籍する。毎日練習が終わると午後10時半まで塾へ。風呂場には数学の公式をはって覚え、トイレには英文をはって速読の練習をする。「隙間時間を活用して、考える時間が好きなんです」。同じクラスで控え捕手の亀井暁翔(あきと)さんも「部活を言い訳にしたくない」ときっぱり。
野球部は2021年秋の都大会で優勝。22年春の選抜大会で初めて4強入りするなど強豪だ。サッカー部やラグビー部も全国レベルで活躍する。
とはいえ、学業と両立させるため、学校の方針で練習時間は制限されている。さらにグラウンドはサッカー部と共用で、全体練習ができる日は多くない。そのため、強化したいポイントを見つけ、各自で練習メニューを考えて活動する。
春の大会で背番号「1」をつ…
- 【視点】
甲子園を目指すなら野球一本、という時代ではないのだと思います。 スポーツに励みながら、勉強もしっかりする。アスリートが「スポーツしかない人生」になる弊害を防ぎ、スポーツをする意味自体を広い視野から多角的に考えるきっかけにもなるなど、良い
…続きを読む