シャープ再建人の見果てぬ夢 危機の元凶に託した「日の丸2.0」
経済インサイド
液晶事業の失敗による経営危機から復活したシャープが巨額赤字に転落した。危機の「元凶」とされた液晶工場を再び子会社化したことが原因だ。なぜ、買い戻す判断を下したのか。掘り下げると、再建を主導したトップが描いた業界再編構想に行き当たる。
シャープが4月に千葉市で開いた創業111年の記念式典には、創業家や同社幹部、政財界の要人がかけつけた。創業者・早川徳次の人生を「波瀾(はらん)万丈そのもの」(沖津雅浩副社長)と振り返った。
それから1カ月足らず後の5月11日、2023年3月期決算の説明会で、呉柏勲(ごはくくん)社長兼CEO(最高経営責任者)は「巨額赤字が発生したことは、私に責任がある」と釈明に追われた。
液晶パネル工場の減損損失がかさみ、純損益は2608億円の赤字だった。経営危機の末、台湾の鴻海精密工業に買収された直後の17年3月期以来、6年ぶりの赤字転落だった。
2608億円の赤字、原因はあの工場
巨額赤字の原因ははっきりしている。2205億円の減損損失の9割近くを液晶パネル事業が占めた。その大半は、22年6月に完全子会社化した「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」によるものだった。
SDPは、シャープの経営危機の「元凶」だった。
SDPの液晶パネル工場は…
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