最愛の相方がつなぐ 故・村田兆治さん提唱の「離島甲子園」への思い

有料記事千葉ロッテマリーンズ

福角元伸
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 マサカリ魂継承へ――

 昨年11月に亡くなったプロ野球のロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)元投手・村田兆治さん(享年72)が立ち上げた「全国離島交流中学生野球大会」(通称・離島甲子園)の第14回大会が、今夏も鹿児島の奄美大島で開催(8月21~25日)される。

 今大会からは現役時代に村田さんとバッテリーを組んで活躍した元ロッテ捕手の袴田英利さん(67)が、村田さんの思いを引き継ぐことになった。

 マサカリ投法と呼ばれた豪快な投球フォームから繰り出される豪速球をキャッチャーとして受け続け、村田さんのプロ通算215勝の多くを一緒に積み上げた「相棒」が、今度は離島の青少年育成のために一肌脱ぐ。

 「遺志を継いで離島甲子園をやってもらえないかというお話をいただいたときは、うれしかったですね。兆治さんから投げられたボールを、しっかりと受け取ったような気持ち。全力でやらせてもらいたいと思いました」

 これまでも、袴田さんはプロ野球の指導者としてユニホームを着ていない時期は「離島甲子園」に携わってきた。大会運営を手伝い、最終日にある元プロ野球選手らによる野球教室に参加してきた。村田さんが情熱を注ぐ姿を間近で見てきた。

 「よく、村田さんは『プロの姿を見せなければいけない』とおっしゃっていた。この日のために体をものすごく鍛えられていた。僕たちも中学生たちと一緒に汗を流せるように、体を作って準備してきましたよ」。昨年の新潟・佐渡大会でも、70歳を超えている村田さんが50メートルの遠投を披露していたという。

 さらに中学生の指導では、楽しさの中にも厳しさを求めた。グラウンドの雰囲気が少し緩んでいると感じれば「おい! もうちょっと、しっかりやらせろ!」と、袴田さんが怒られることも。「兆治さんらしいですよね。子供たちへの向き合い方も、全力投球の人でした」と、思い出して笑った。

 離島甲子園事務局の担当者によると、村田さんは「プロを目指せ」とか「野球選手になれ」という言葉を一度も子供たちに言わなかったという。

 人口が少ないことや施設、生活面などで不便なところも多い離島。そういう不利な状況下でも「スポーツで培ったものを社会に出てからのフィールドで生かして頑張って欲しい」という思いを常に持っていた。

 その熱い魂を継げるのは「袴田さん以外に考えられない」というのが、事務局側の総意でもあった。

 現役時代の2人はロッテの黄…

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