「おじいちゃんのユーモア」 中井貴恵さんが朗読で伝える小津作品
松原央
今年が生誕120年、没後60年にあたり、改めて脚光を浴びている映画監督小津安二郎(1903~63)。その作品にも出演した昭和の大スター佐田啓二(1926~64)の長女で、俳優・エッセイストの中井貴恵さんは、監督から実の孫のようにかわいがられた。中井さんは今年、各地の映画祭で作品を朗読する「音語り」を披露する。
「子どものころの私にとって映画は、6歳のときに事故で亡くなった父と出会える唯一の世界だった。父がいつも善良な一市民を演じている小津作品は、安心して見ていられた」
そう語る中井さんにとって、記憶の中の監督は「親戚でもないのに、しょっちゅう我が家に来て酔っ払っているおじいちゃん」だった。子ども好きだった監督の口癖は「大きくなれば獣になる動物でも、神様は子どもを可愛くつくった」。幼い中井さんと文通で親交を深め、はがきにいつも得意の絵を描いてくれた。
監督が最愛の母親を亡くした…
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