漬物で野菜の摂取量アップ? 農水省が呼びかけ、危ぶむ専門家も
農林水産省は4月末に「漬物で野菜を食べよう!」という取り組みを発表しました。
農水省は、目標値の350グラムを70グラムほど下回っている日本人の野菜摂取量を増やそうとする「野菜を食べようプロジェクト」を以前から展開しており、その一環ということです。
チラシを見ると、「あと70グラムの野菜を意識して摂(と)るようにしましょう!」という言葉とともに、白菜の浅漬け35グラム、梅干し35グラムなど漬物19点の写真がずらり。いずれも生野菜70グラムに相当する量だとしています。
しかし漬物は食塩の含有量が気になります。チラシにも「食塩摂取目標量を意識しながら漬物を上手に取り入れ」とあり、各漬物の食塩量0・7~1・7グラムが記されています。1日の食塩摂取量が現在約10グラムで目標を大幅に超過する中、決して少なくない量です。
食塩の過剰摂取は高血圧の要因で、ひいては脳卒中や腎臓病を招く恐れがあります。胃がんとの関係も指摘されています。日本人にとって最重要の栄養課題なのです。「漬物で野菜を」というのは妥当なのか、日本高血圧学会の減塩・栄養委員長を務める三浦克之・滋賀医科大学教授(公衆衛生学)に聞きました。
「減塩がますます重要なのに…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら
連載食のおしゃべり
この連載の一覧を見る
- 大村美香(おおむら・みか)朝日新聞記者
- 1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)