養殖マダイ、他県産を三重県産に偽装 尾鷲の三重漁連施設が出荷

山本知弘
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 三重県漁業協同組合連合会が県産として出荷した養殖マダイの一部に他県産をまぜていたことが、漁連への取材でわかった。愛媛、和歌山両県産を三重県産としていた事例が2020年7月ごろから約2年半にわたって続いていたという。

 漁連は25日、尾鷲市の牟婁事業所の出荷分の一部に誤りがあったとして、ウェブサイトに湯浅雅人会長名のおわびを掲載した。消費者や取引先、生産者に対し、「多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くおわびする」などと記している。漁連は取材に「注文を受けた数や大きさ、時間に応えるため」と故意だったことを認めた。さらに詳しく調べ、結果を公表する方針。

 漁連によると、3月16日に東海農政局が事業所を立ち入り検査し、愛媛、和歌山両県産の養殖マダイの仕入れ数と販売数のずれを指摘された。その後の内部調査で、仕入れた一部を三重県産として出荷していたことが判明。3月27日に農政局に報告したという。

 事業所は加工場を併設し、県産が手に入りにくい時期でも加工品をつくれるように他県産のマダイを仕入れていた。品質や価格には、産地による大きな違いはないという。影響規模は農政局の調査が続いていることを理由に明らかにしていないが、「ごくわずかとみている」と説明する。漁連も、弁護士を交えて調査を進めたうえで関係者の処分も検討するという。

 一方、公表が2カ月遅れたことについては「上層部が、ある程度のことがわかり、関係者にも説明してからと判断したため」と説明した。ブランド魚として出荷する「伊勢まだい」や、マダイ以外の魚では、現時点で同様の事例は見つかっていないという。(山本知弘)

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