「一番助けが必要なときに…」スーダンに残した人たち 募る罪悪感

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後藤遼太
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 いまも戦闘が続くアフリカ北東部のスーダン。1カ月前、自衛隊機での退避を選ばず、独自のルートで国外に脱出した日本人男性がいた。「スーダンの人がもっとも助けを必要とするときに、一緒にいられなかった」。罪悪感を抱きながら、即時停戦を訴えている。

 国際NGO「国境なき医師団」スタッフの落合厚彦さん(61)は、現地責任者としてスタッフ約40人を統括していた。

 突然の銃声だった。

 4月15日の朝、首都ハルツームの宿舎で休んでいた落合さんは「パン、パン、パン」という乾いた音と、花火のような爆発音を聞いた。

 5階建ての屋上へ急ぐと、市内から上がる黒煙が見えた。

 約20人のスタッフと地下に避難した。

 戦闘は徐々に近づき、宿舎のすぐ近くで市街戦も起きた。敷地内からはひしゃげた銃弾も見つかった。

 今こそ医療を提供しなければ――。そんな気持ちが強かった。

 「しかし、情報がなく外出できない。もどかしかった」

 落合さんがスーダンで活動するのは、2017年以降3回目。

 国軍と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の統合を巡り、両者の緊張が高まっているのは認識していた。

 今年2月半ば以降は「部隊が首都に集結している」という情報も駆け巡っていた。

「あなたはここを出て」 同僚は言った

 それでも、事態は予想を上回…

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