馳浩知事が疑義のドキュメンタリー映画 監督が大切にする「違和感」
石川県の馳浩知事が、石川テレビ(金沢市、フジテレビ系列)が制作した映画への疑義から定例会見を拒否した問題。その発端となったドキュメンタリー映画「裸のムラ」の監督を務めた五百旗頭幸男氏(44)が、朝日新聞のインタビューに応じた。
――前作「はりぼて」は富山市議会の不正を暴く「ジャーナリズム」的な作品でした。
僕が思うジャーナリズムは、僕たちが伝えなければ視聴者や市民が気づかないものを伝えることです。そのためには、記者が感じるささいな違和感を大事にして、物事を掘り下げていく必要があります。
はりぼても、最初は富山市議会の政務活動費の使い道に対する違和感からスタートした取材です。同じく、裸のムラも石川県庁をとりまく空気感への違和感から出発した企画です。ジャーナリズム的な姿勢は何も変わりません。
――自身のことを「記者」以外に「表現者」とも呼んでいます。
私がドキュメンタリーの制作者で、そこに自分の考えや主観を表現しているからです。私自身、ドキュメンタリーを公平中立なものだとは一切考えていません。カメラを回すかどうか、映像をどの角度から撮るのか、編集でどの映像を使うのか。ドキュメンタリーの制作過程は、主観的な要素が盛りだくさんです。
しかし、事実や出来事、取材相手には徹底的に向き合います。裸のムラの撮影でも、その相手と議論しました。番組として放送した後、映画が決まった際にも議論になった。100%納得はしてもらっていないかもしれないけど、最終的には映画化を認めてもらっています。ドキュメンタリーは主観が入って当然ですが、事実や関係者と向き合って制作しています。(聞き手・山田健悟)
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