めざせ地域のFM局復活 運営費3千万円、市民らが資金集めに奔走

谷辺晃子
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 兵庫県尼崎市のコミュニティーラジオ局「エフエムあまがさき」が3月に閉局したことを受け、市内にコミュニティーFM局を復活させようと、番組の元パーソナリティーや市民らが奔走している。サポーターやスポンサー、パートナーを募集。9月ごろの放送開始を目指している。

 運動の中心は、一般社団法人「みんなのあま咲き放送局」の7人のメンバーたち。休止扱いのエフエムあまがさき(周波数82・0メガヘルツ)の放送免許を受け継ぐ形で、新たなコミュニティー局の開局を模索している。

 パーソナリティーらに閉局が伝えられたのは昨年5月ごろ。その前から番組数が減るなど異変はあったが、「まさかという感じ。なんとか続けられないかと思っていたが、難しかった」と、あま咲き放送局代表理事でパーソナリティーの一人だった牧野篤史さん(46)は振り返る。

 エフエムあまがさきは1996年、前年の阪神・淡路大震災をきっかけに開局した。尼崎市文化振興財団が運営し、市が年間約4千万円で広報番組の業務を委託。タレントや落語家、市民パーソナリティーらを起用し、地域の細やかな話題や防災情報を発信してきた。

収益見込めず閉局 「ゼロからのスタート」

 だが昨年度で市の業務委託費が打ち切られることになり、収益が見込めないことから昨年6月に閉局を発表していた。

 これを受けて同10月、有志があま咲き放送局を立ち上げた。尼崎で26年続いたラジオ文化を絶やさぬよう、いまも会議を重ねている。

 悩ましいのは財政面だ。

 放送を再開する場合、通信回線費用や著作権料、人件費などで当面3千万円ほどの運営費が必要になる。

 「ゼロからのスタート」と牧野さんは言い、金銭的な支援をする法人や個人のサポーターをSNSなどで募集。なんとか1200万円が集まった。

 一方、あま咲き放送局の活動を支援するクラウドファンディング(CF)も22日から始まった。

 主導するのは、尼崎市に本社を構える自動車販売会社「ネッツトヨタ神戸」。開業・運転資金として2千万円を6月30日まで募る。

 今回の活動を新聞報道で知った同社が、協力に名乗りを上げた。

 同社の担当者は、こう力説する。「パーソナリティーの皆さんはとにかく個性派ぞろい。より狭く、より深くを極めることがコミュニティーFMの使命だとしっかり認識されている。地域に根ざした会社を目指す弊社のコンセプトと一致し、開局のお手伝いを決意した。地域を一緒に盛り上げていきたい」。詳細はCFのサイト(https://tfc-cf.en-jine.com/projects/amasaki-fm別ウインドウで開きます)へ。(谷辺晃子)

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