村人たちが守り継いだ観音像、東京で展示 「観音の里」滋賀・長浜市
地域で守り継いだ観音像が点在し、「観音の里」として知られる滋賀県長浜市。地元の観音像を東京で展示する「東京長浜観音堂」が今年度も開設された。5月から来年2月まで、4期に分けて展示する。首都圏で観音文化を発信し、支援者を増やそうという取り組みだ。
長浜市のある湖北地方は、奈良時代から仏教文化が繁栄した。戦乱や風水害に遭っても、集落の村人たちが、それぞれの観音像を大事に守り続けてきたという。市内には観音像約130体が現存するとされる。集落の小さなお堂で、地域住民の手で守られてきたことに特色がある。
観音文化の伝承を目指し、所有者や管理者らが2020年に「観音の里・祈りとくらしの文化伝承会議」を設立。市とともに「東京長浜観音堂」を21年から開いてきた。昨年度は常楽寺の聖観音立像などを展示し、約4700人が来館した。
今年度の第1期は5月20日から始まり、6月18日まで。横山神社(長浜市高月町横山)の馬頭観音立像(像高99・6センチ)を展示。
会場は、長浜市に本社を置く「近交運輸グループ」のJR東京駅近くの東京支社(中央区日本橋2丁目、八重洲セントラルビル4階)の一角にある。
入館無料で、月曜休館(祝日の場合はその翌日)。第2期は8月1~31日、第3期は11月1~30日、第4期は来年2月1~29日。展示される仏像は未定。
馬頭観音立像は市の指定文化財で、普段は高月観音の里歴史民俗資料館で見ることができる。
ヒノキの一木材から彫り出され、頭上には馬頭があり、本面と左右脇面が憤怒の相を表している。左右の第1手は胸の前で馬口印(まこういん)を結び、脇手は宝剣、鉞斧(えっぷ)、宝輪、数珠を手にする。平安時代末期、12世紀ごろの作風とみられる。
観音文化の支援・サポーター組織「長浜観音倶楽部」の会員も募っている。入会費1千円、年会費1500円。オリジナルグッズがもらえるほか、季刊誌が届く。
問い合わせは「観音の里・祈りとくらしの文化伝承会議」事務局がある市歴史まちづくり室(0749・65・6376)。(藤井匠)
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