日本のプロスポーツ現場に浸水のリスク 「人ごと」ではない気候変動
日本各地のスタジアム周辺の地図が赤く染まっていた。
それは、このまま気温や海面の上昇が進んだ場合、2050年に毎年のように浸水するリスクを抱える地域を示す。それぞれの地域は、洪水などの危険にさらされると予想されている。
プロ野球は阪神タイガースが本拠地とする阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)▽広島カープのマツダスタジアム(広島市)▽千葉ロッテマリーンズのZOZOマリンスタジアム(千葉市)▽オリックス・バファローズの京セラドーム大阪▽ソフトバンクホークスの福岡ペイペイドーム。Jリーグはヴィッセル神戸のノエビアスタジアム神戸、ジェフユナイテッド市原・千葉のフクダ電子アリーナ(千葉市)と徳島ヴォルティスのポカリスエットスタジアム(徳島県鳴門市)が該当した。
この地図ツールは、科学者や研究者、気候変動を専門とするジャーナリストらで構成される米国の非営利の研究団体「クライメート・セントラル」が20年3月に作成した。同団体によると、このツールや同団体の研究結果は、2021年の国連の気候会議で海面上昇を話し合う際に使われた。また、昨年にエジプトで開かれた国連の気候変動会議(COP27)では、同団体の代表者が、気候変動の影響をどう世の中に伝えていくかなどについて詳述した。
日本のスタジアムも水害対策をしている。広島駅近くにあるマツダスタジアムの直下には「大州雨水貯留池」がある。浸水想定区域となっている周辺の浸水対策として1万4千立方メートルの雨水を収容できる。1時間あたりの降水量の許容量は貯留池設置によって20ミリから53ミリまで増えた。京セラドーム大阪は津波や高潮による浸水想定区域内にあるため、ドームの全周に防潮パネルを準備している。
このままのペースで気候変動が続いたら、日本のスタジアムとその周りはどれほどのリスクがあるのか。スポーツの抱えた問題を知り、動き始めている選手たちもいます。昨年10月に連載「気候変動 沈むスポーツの現場」を配信してから、専門家やスポーツ関係者らに追加取材をして再構成した記事を2本配信します。
ただ、気候変動を踏まえた将…
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