海外の遺骨収集「集中実施期間」5年延長へ アッツ島遺族の思い複雑

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関根慎一 後藤遼太
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 第2次世界大戦の戦没者の遺骨収集について、国が取り組む2024年度までの「集中実施期間」を5年間延長する方針で与野党が一致し、延長を盛り込んだ改正法案が今国会で成立する見通しとなった。国の遺骨収集事業は、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻で進捗(しんちょく)が遅れ、期間延長を求める声が出ていた。

 超党派の議員立法で16年施行の戦没者遺骨収集推進法は、遺骨収集を国の責務とし、24年度までを集中実施期間と定めた。だが、コロナ禍で海外への渡航が困難な時期が生じたほか、ウクライナ侵攻後はロシアでの遺骨収集ができず、再開のメドも立っていない。こうした状況から、法改正によって集中実施期間を延長する方針で与野党が一致した。

 厚生労働省によると、集中実施期間の国内外の遺骨収集の予算額は16~23年度で計約219億円。海外の戦没者約240万人のうち、112万柱の遺骨が収集できずにいる。うち約23万柱は政府が「収集困難」とする。中国東北部や北朝鮮にあり、相手国の国民感情などから作業が難しいからだ。海没した遺骨も約30万柱ある。

海外に取り残された112万柱

 政府が収集を進めるとするの…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2023年5月28日8時55分 投稿
    【視点】

    こういう姿勢の政府が防衛力強化をうたうのは矛盾だが、国民の保護より目先の国政と役所の事情が優先という方針では一貫しているようにもみえる。国民からそう思われてしまったら、政府としては正統性の危機である。

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    藤田直央
    (朝日新聞編集委員=政治、外交、憲法)
    2023年5月28日18時41分 投稿
    【視点】

    この戦没者遺骨収集推進法は2016年、超党派の議員立法で全会一致で成立。第1条に目的を掲げ、「戦没者の遺族をはじめ今次の大戦を体験した国民の高齢化が進展している現状において、いまだ多くの戦没者の遺骨の収集が行われていないことに鑑み、戦没者の

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