マイナ保険証申請、こぼれ落ちる高齢者 介護側「責任と負担重すぎ」

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編集委員・清川卓史
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 マイナンバーカードと健康保険証を「マイナ保険証」として一体化するための関連法改正案が国会で審議されている。現行の健康保険証は2024年秋に廃止する方針だ。しかし、医療・介護の現場では、要介護高齢者や障害のある人らが「マイナ保険証」を申請できず取り残されかねない、という懸念が強まっている。

 「入居者本人の申請意思の確認ができない。暗証番号設定も必要なのに、どうやって申請援助するのか」

 東京都葛飾区特別養護老人ホーム葛飾やすらぎの郷。運営する社会福祉法人すこやか福祉会の法人統括マネジャー天野義久さんはそう言って首をふる。

 約90人の入居者の半数以上は、重い認知症などで意思表示が難しい。身寄りがなかったり、家族も別な施設に入居していたり、という人も少なくない。成年後見制度の後見人がいる入居者は、ごく一部だという。

 政府は、自分で申請が難しい人について、施設職員や支援団体などに申請援助・受け取り代理の協力を求めることを検討する。ただ、申請には暗証番号の設定も必要だ。支援者が暗証番号を決めるわけにもいかない。

「預かる責任重すぎる」

 取得後のカードや暗証番号の管理も問題になる。

 天野さんによると、やすらぎ…

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