ウクライナはなぜ、F16戦闘機がほしいのか? NYTコラム
デイビッド・フレンチ
ウクライナの現地時間で19日の朝、私はこの戦争で最も優れたアメリカの決断の一つを伝えるニュースを聞いた。ホワイトハウスは、欧州の同盟国がアメリカ製のF16戦闘機を供給することを、もはや阻まない――。
この決定は、ウクライナのゼレンスキー大統領が広島で開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)の前に行った交渉の末に下された。欧州の指導者たちは、自国からF16をウクライナに供給し、パイロットを訓練する意思を示していた。しかし、これまでバイデン政権はその考えを否定していた。これは、歓迎すべき重要な政策変更だ。
私はこの1週間をキーウで過ごし、先進的な戦闘機を求めるウクライナの主張を裏付けることができた。国防相、外相、法執行や経済復興に関わる閣僚など、あらゆる分野のウクライナの指導者に会った。すると、全員のアイデアが「ウクライナには西側の先進的な戦闘機が必要だ」ということに集中しており、具体的にはアメリカ製のF16を求めていた。私は、ここまで一貫した、規律あるメッセージをみたことがない。
きわめつけは、クブラコフ・インフラ相と会ったときだ。インフラ相さえもが、F16をウクライナに供給する根拠を印刷したものをよこして、話し始めた。私はこの手の議論はレズニコフ国防相に期待しており、クブラコフ氏には期待していなかったのだが。
ある意味、わかりきった話だった。私は彼らには先進的な戦闘機が必要だと確信したうえで、ウクライナに来ていたのだから。ただ、それがF16なのかどうかは分からずにいた。欧州の軍隊には、欧州で設計・製造された4.5世代戦闘機が何百機もあるのだから。ウクライナの要請の重要性と、バイデン政権の判断の正しさを理解するためには、いくつかの基本的な背景を知る必要がある。
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