米債務上限引き上げ、大統領と下院議長が大筋合意 議会手続き焦点に

デトロイト=榊原謙
[PR]

 米政府の債務(借金)上限の引き上げ問題で、バイデン米政権と共和党が27日、上限の引き上げで大筋合意に達した。バイデン大統領が声明で発表した。6月5日にも迫る米史上初の債務不履行の回避に向け、今後の焦点は米議会による手続きに移る。

 バイデン大統領は声明で、同日夕に共和党のマッカーシー下院議長との間で大筋合意に達したと説明。「この合意は米国民にとって朗報だ。破滅的な債務不履行になりかねなかったのを回避したからだ」などとした。

 米紙ニューヨーク・タイムズは関係者の話として、2年にわたって債務上限を引き上げる一方、同じ期間、政府の歳出を一定程度、削減する案で合意したと伝えた。バイデン氏とマッカーシー氏は27日、最後まで残された対立点について電話で協議したという。

 マッカーシー氏もツイッターに「先ほど、大統領と電話を終えた。彼が何カ月も時間を浪費し、交渉を拒否した後に、私たちは米国民にふさわしい大筋合意に至った」と投稿した。

 米国では政府が借金できる上限を法律で決めている。現在は約31・4兆ドルで、すでに上限に達している。上限を引き上げなければ、6月5日にも債務不履行に陥る。それまでに議会で上限引き上げの法案を通す必要がある。

 バイデン氏は声明で、合意内容を法案に落とし込み、米議会上下院に届けると表明。「両院が直ちにこの合意を可決するよう強く求める」とした。マッカーシー氏は記者団に、共和党が多数を握る下院で、31日に採決する見込みだと明らかにした。

 だが、バイデン氏とマッカーシー氏は合意までに妥協や譲歩を重ねているとみられ、大幅な歳出削減を求めてきた共和党の保守強硬派が法案にすんなり賛成するかはわからない。民主党内にも、歳出削減を受け入れることに根強い不満がある。(デトロイト=榊原謙)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません