四球を選べる今年の阪神 8連勝への分岐点となった中野拓夢の我慢
(28日、プロ野球 阪神タイガース4―1読売ジャイアンツ)
今季の阪神は「選球眼」がいい。
昨秋、就任した岡田彰布監督は「四球は安打と同じ」と説いてきた。報道陣にもその価値を力説したことがある。「俺らが若い時にも川上哲治さんがよく言っていた。『ヒット1本打って、四球一つ選んだら(打率が上がって)首位打者やで』言うて」と。
勝ち越した七回、その四球がものを言った。
1死一、二塁で中野拓夢。前日まで15試合連続安打を放ち、打点21と好調な2番打者は冷静だった。「ヒットを打ちたい気持ちはあったけど、つなぐことが最優先」。カウント3―1から際どい球を見極めた。塁が埋まり、ノイジー、大山の連続適時打で3得点。勝負の分岐点になった。
中野の四球は今季22個目だ。元々、積極的に振っていくタイプで135試合に出た昨季は18個しかなかったのだから、その意識改革の程度がうかがえる。
中野に限らない。セの四球数上位5人のうち中野を含む4人が阪神勢だ。チームの獲得四球数もセ最多の166。1試合平均で昨季の2・5個から3・6個に増えている。
近年は投手力の高さばかりが目立っていたが、ここまでの189得点もリーグトップ。投打の歯車がかみあい、17もの勝ち越しを持って、2年連続2位と相性のいい交流戦に入る。「自分らの野球をするというか、あまりデータもないと思うので、きっちりと野球をやっていけばいい」と岡田監督。自信がにじむ。(大坂尚子)
岡田監督(神) 8連勝に「できすぎ。先発が頑張る、打線も頑張る。うまくかみ合っているのがこういう形になっているんじゃないですかね」。
湯浅(神) 復帰後初セーブ。「しっかり腕を振れている。球は悪くないけどまだまだ(出力は)上がると思う」
才木(神) 八回途中を10奪三振、1失点。「真っすぐを待っているところで変化球を振らせていくのが、今日はできた」
ノイジー(神) 七回に勝ち越し打。「しっかり強い打球を打つことができて、打点につながったのでよかった」