「石見銀山」転落死亡事故、島根県大田市が65カ所を緊急修繕へ
島根県大田市大森町の世界遺産・石見銀山遺跡の一角で3月、腐食した柵が壊れて観光客が川に転落死した事故を受け、市内全域の市道や観光施設などを緊急点検していた大田市は29日、市道や石見銀山遺跡内の遊歩道など65カ所を緊急修繕すると発表した。修繕費約2億円を、6月12日開会の市議会定例会に提出する一般会計補正予算案に盛り込んだ。
事故は3月8日に発生。観光で訪れた女性(68)が大森町内の羅漢町橋付近の転落防護柵にもたれかかったところ、木製の柵が折れ、約4メートル下の川に転落し死亡した。
市は事故翌日から公共施設の緊急点検を開始。市道1730路線、観光施設36カ所、都市公園11カ所、石見銀山街道の17エリアなどを対象に調べた。
その結果、修繕が必要な箇所が4月20日時点で257カ所あることを確認。このうち、大森町の重要伝統的建造物群保存地区内の木製の橋や道路のガードレールなど、事故現場も含めて計66カ所を副市長を委員長とする部・課をまたいだ修繕対策優先度判定委員会が緊急に修繕が必要と判断した。
事故があった柵については、4月24日に鉄製の柵へのつけ替え工事を完了。今回の補正予算案では、大森銀山重要伝統的建造物群保存地区の四本の橋や公園の遊歩道など残る65カ所の修繕費を盛り込んだ。
この日あった定例会見で楫野弘和市長は「予防保全という考え方でやるべきだったが、それができていなかった。これからも補修が必要なものは随時やっていく」と述べた。(堀田浩一)
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