「元祖柿の種」浪花屋、同業の阿部幸に事業承継 社名や商品は残す
「元祖柿の種」で知られる米菓製造の浪花屋製菓(新潟県長岡市)は6月1日、同業の阿部幸製菓(同県小千谷市)に全事業を承継する。コロナ禍で経営が厳しくなっていた。社名や商品はそのまま残すといい、両社は、今年創業100年を迎えた浪花屋のブランド力と業務用に強い阿部幸の販路を生かし、「今まで以上に多くの人たちに商品を届けたい」とする。
浪花屋は1923年創業。翌年、創業者の妻が餅を切り抜く小判型の金型を誤って踏みつぶしてしまい、できあがったあられの形状が似ていたことから「柿の種」が誕生したとされる。「元祖柿の種」と書かれた大きな缶入りの商品が旅行時の土産ものなどとして人気を呼んだが、コロナ禍で需要が低迷。事業承継に向けて昨秋ごろから協議を進めてきた。
両社の26日の発表によると、阿部幸がグループ内に新会社を設立し、浪花屋の社名、商品、工場、設備、約80人の従業員を引き継ぐ。社長には阿部幸の阿部幸明専務が就き、浪花屋の上村一重社長はアドバイザーを務めるという。
上村社長は「歴史ある事業を何とか引き継げて良かった」と話す。阿部幸の広報担当者は「浪花屋のブランド力を引き継ぎ、守りながら、阿部幸の販路を生かし、今後も成長していきたい」としている。
両社の売上高は浪花屋が約17億円(2022年10月期)、阿部幸が約60億円(同年12月期)。(白石和之)
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