第1回思い切りやるため無所属で再起、背中を押した二つのきっかけ

有料記事フォーラム

太田匡彦
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 「無所属になって5期目にチャレンジしようと思ったとき、本当にひとりぼっちでした」。4月9日午後11時過ぎ、開票所に詰めていた知人から得票数が1万票を超えたと連絡が来て、当選を確信した。山口和佐(かずさ)さん(47)は選挙事務所に入り、そう話し始めた。集まっていたのは親戚や友人、知人らで、10人に満たない。1人ずつ目をあわせながら、続けた。「これまでは大きな組織に守られていたので、自分では選挙のやり方もわからなかった。スタートは後援会長と幹事長と私の3人だけ。でも1人また1人と仲間が増え、心が強くなった」

 就職氷河期まっただ中の1995年、高卒で地元の化学メーカーに就職した。それから、「自分の存在価値」を求めてさまよった。単調な仕事の毎日に危機感を覚え、オーストラリアに語学留学する。帰国後は派遣社員として働いたが、起業のために勉強がしたくなって小樽商科大に入学した。

 そこで、NPO法人「ドットジェイピー」が運営する議員インターンシップに出会う。国会議員の事務所でインターンを始めると、連合関係者から「選挙に出てみないか」と持ちかけられた。「若い世代の声が、政治に届けられるようになるかも知れない。チャンスだと思った」

ロスジェネ政治家のいま

 就職氷河期に世に出たロストジェネレーション(ロスジェネ)と呼ばれる世代は、現在40代から50代前半。派遣・契約社員など不安定な働き方をする人が多い半面、多様性を体現した世代として、地方政治に挑戦する人も多く現れました。地盤(組織)、看板(知名度)、かばん(カネ)がなくても政治家になれる。そう身をもって示し、身近な問題の解決や制度づくりに携わってきました。ロスジェネが作りだした若者の政治参加のうねり、政治に多様性を求める動きは、どこへ向かおうとしているのか。その足跡と、次の世代の選挙戦を取材しました。

シングルマザーになって起業を決意

 2007年4月の札幌市議選…

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