ChatGPT(チャットGPT)などの生成AIは教育をどう変え、教員はどう対応したらよいか。そんなテーマの催しが5月24日、東京大で開かれた。現時点で生成AIが抱える課題や、学校での活用例などの報告があり、「今後の教員のあり方」についての意見交換もあった。(上野創、編集委員・増谷文生、同・宮坂麻子)
生成AIは「思考深める議論の相手」
質問や指示を入力すると、なめらかな文章で出力してくれるチャットGPTなどの生成AIは、その便利さから世界的に広がりをみせている。
吉田塁・東大大学院工学系研究科准教授は、国内外の大学の生成AI活用ルールを紹介しながら、「生成系AIはあくまでも(作業を補助してくれる)副操縦士の役割で、操縦士である人間の知識、思考、意思決定が重要になる」と強調した。
一方で、やりとりした内容をAIが学習して流出する可能性もゼロではない、と指摘。教育現場で使う時は、個人情報などは質問や指示に入力しないことを勧めた。
東大大学院総合文化研究科・教養学部の中澤明子特任准教授は、学生たちの議論に「異質な視点」を提供する際などに生成AIを取り入れた。学生からは「自分では気づけなかったことに、チャットGPTが注目していて興味深かった」といった感想が寄せられたという。
米イエール大の授業での活用事例にも触れた。同大では、学生が書いたエッセーとチャットGPTに出力させた文章を、学生自身に比較させて違いを考えさせたり、質問に対するチャットGPTの回答に不正確な点がないかなどを学生に考えさせたりしているという。
池尻良平・東大大学院情報学環客員准教授は、作文の途中で「フィードバックをください」と入力すると文法の間違いや欠けている根拠を示してくれたり、物語の冒頭を入力すると続きを書いてくれたりする生成AIもあると紹介。思考を深める議論の相手にもなってくれるとし、「AIドリルのように正誤を分析し個々に適切な問題を出す『アダプティブラーニング』から一歩踏み込み、正誤がすぐ評価できないものも分析できるのがチャットGPT活用の未来」と語った。
学校での活用例として、「枕…
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