「本来合格なのに不合格」慰謝料倍に 東京医科大入試訴訟で東京高裁
入試で女性らを一律に不利に扱う不正があった東京医科大を2006~18年度に受験した女性らが、大学に賠償を求めた集団訴訟の控訴審判決が30日、東京高裁(増田稔裁判長)であった。高裁は、一審・東京地裁判決を一部変更し、本来合格だった4人を不合格としたことへの慰謝料を、一審の150万円から200万~300万円に増額。控訴した16人中15人に受験費用や慰謝料など計約2085万円を支払うよう同大に命じた。1人は時効を理由に控訴を棄却した。
高裁判決は、本来合格していた元受験生について「被った精神的苦痛は大きい」と指摘。不合格の結果、費用の高い他の大学に進学したり、浪人したりした3人の慰謝料を300万円、第2志望に合格した1人は「合格判明まで不安を感じた」として200万円に増やした。浪人した1人については、一審が認めなかった予備校費用も損害と認め、別途150万円を加えた。
不利な扱いを知らずに受験したことへの慰謝料は、一審と同様に、1年度につき原則20万円が相当と判断した。
原告側弁護団の角田由紀子弁護士は判決後の会見で「判決の書きぶりを見る限り、属性調整(女性への不利な扱い)自体が不法行為だと認めた」と述べ、この判断が慰謝料増額に影響したとの考え方を示した。一方で、「評価するが、本来は一審でそういう判断がされるべきだった」とも話した。
一審では28人が提訴し、27人に対する計約1826万円の賠償が22年9月に命じられた。慰謝料などを不服として16人が控訴していた。
同様の不正入試があった順天堂大の元受験生13人が起こした集団訴訟の判決では、慰謝料は受験1年度あたり30万円とされていた。